
内省。

日付が変わりまして9月18日。
本日で、Saltyがオープンしてから丸6年が経ちました。
お店のオープン時の初心を忘れない為に、そして今の自分を見つめ直す為に、オープン時と同様に毎年この日は必ずお店の床にオイルを塗布し直すことにしております。
オープンして6年が経ったことに「もうそんなに経ったかぁ…」とぼんやり物思いに耽ろうとした時、「小学一年生が中学生になるまでが6年間」と気付いて急にその時間の長さを実感致しました。笑
とても長い年月を私はこのお店で過ごしたことになりますが、6年前の自分と何か変わったのでしょうか?
オープン当初持っていた莫大な不安感というものには流石に少し慣れては来ましたが、心配性で行動力に欠け、慢性的なマンパワー不足な所は変わっておりません。
自分自身それほど成長出来ていないなとあらためて自認しつつ、世の中は6年前と確実に変わったなと感じています。
昨年から続くコロナ禍の影響はもちろんなのですが、そちらを抜きにしてもアパレル業界は大きく変化致しました。
ECの台頭、SNSの影響力の高まりや、セレクトショップ、ブランドの同質化など、聞き飽きたワードとは思いますが私自身はこの1、2年間で急にその実感が強くなりました。
デザイナーの作るプロダクトの魅力に惹かれてお店でお取り扱いさせて頂ける様に交渉し、その魅力を余すことなくお客様へお伝えして気に入って頂く。
そのようなプロセスとは異なり、今はSNSにおいてインフルエンサーの一言で需要が大きく変わる時代です。
「前だって雑誌やテレビで同じこと起きてたじゃん」という見方もありますが、SNSはスピード感が桁違いです。
影響力のある方が紹介するとタイムラグ無しでそのブランド、単一商品の人気が出て、そしてその人気が落ち着くのもものすごいスピード感。
当店においてもその様な商品がありましたが、初めてお店に来られる方に「あれありますか?」と求められ、その時に私がする仕事はただ商品を右から左に流すだけ。
「これって僕じゃ無くても良くない…?」と感じる瞬間がちらほらとあり、自分の存在意義を自問する日々が続きました。
また、セレクトショップ側も「売れる」ブランドを求めて我先にと新規ブランドの取り扱いに精を出し、「次は何が売れるんだ?」というスタンスで常に構えているショップが多くなった様に感じています。
結果としてどこのショップでも同じシーズンに同じ様なブランドラインナップで、ブームが去れば見切りをつけるというサイクル。
もちろん、ボランティアでお店を運営している訳ではありませんし、運営し続ける為には利益が必要ですのでそれを求めるのは当たり前です。
しかし何でしょう、このモヤモヤは。
「自分が良いと感じたものに共感して頂く」結果として、「商品が売れて利益が出る」というのが我々セレクトショップのあるべき姿なのでは無いか…と考えてこちらを書いていたら、「そのようなお店とはそもそもその目的が違うのか!」と今急に自分で納得致しました。笑
ものすごく気持ちがすっきり致しました。
ただ自分の中で考えるだけで無く、アウトプットしてみるものですね。
お店の考え方はそれぞれです。
みんな違ってみんないい。
当店は潤沢な資金のあるジャイアンツの様な組織では無く、一人で運営しているちっぽけなお店ですので、これから間違いなく売れるブランドや、ブランドの中のヒットアイテムを「売れるから」仕入れようかなと直前まで迷ったことが何度もあります。(中には実際に仕入れたものもあります。)
それが自分で本当に良い作品だと思えれば仕入れれば良いだけですが、そうでないならばやめた方が、自分の精神衛生上良いみたいです。
次の商品を仕入れ、家族や友人と平和に過ごせる程度には利益を求める必要はありますが、利益最優先にはならず、自分が何の為にわざわざ独立してこのお店を出したのかという目的を見失わない様にしようと心に決めました。
こちらの選択をすることでお店の運営難易度は上がってしまいますが、どうせコモディティ化して廃れてしまうくらいならば、やりたいことをやろうと思います。
なんだかものすごく生意気な表明となってしまいましたが、これまで以上に頑張りますので、暖かく見守って頂ければ幸いです。
Salty 代表 齊藤 大輔