
写真には写らない美しさがあるから…

これほどまでに写真映えしない洋服も珍しい。
こちらの画像ではただの「スウェットパンツ」ということしか伝わらないことでしょう。
この様なタイプの洋服はSNS、ECが発達している昨今においては、お店側からするとなかなか発注が難しい作品ではないかと思います。
また、店頭においてもその伝わり難さは健在で、畳みやハンギングではその魅力は表れず、真価を感じるには実際に着用する他無い。
「なんでそんなもの仕入れてんねん」と言いたくなるデメリットばかりを書き連ねましたが、その明らかな欠点を軽々と凌駕する素晴らしさがある為に、展示会の時点でオーダーを即決致しました。
奇抜なデザインは全く無い、むしろ非常にミニマルなヴィジュアルですが、こちらの作品の尖った特徴は生地にあります。
ウールの紡毛糸で限界まで度詰にして編み上げた、ガッチガチの裏毛生地。
slopeslowと言えばな堅牢さはワークウェアの様に気を遣わずに着ることを可能としておりますが、こちらの強いハリを持つ生地によって生まれるスウェットパンツらしからぬシルエットと存在感こそがこちらの作品の最大の魅力です。
やわなイメージや無頓着でルーズな印象は完全に排除され、ぴしっと見栄えして高級感さえも感じさせる裏毛素材のパンツという、矛盾に満ちた仕上がりとなっております。
百聞は一見にしかず。そして百見は一試着にしかず。
大して興味をお持ちでない状態であっても、一度ご試着いただければこちらの感動を共有していただけ、そしてこちらの作品の印象がガラリと変わるものと確信しております。
私がslopeslowの展示会でそうであったように。