
YASHIKI 19AW シーズンテーマ「冬支度」

12月に入り、寒さがぐっと深まって参りました。
いよいよ冬コーディネートを存分にお楽しみ頂ける時季が到来ということになります。
一年の中でも冬を最も得意とするのが、ニット専業ブランドである「YASHIKI」です。
YASHIKIの作品は、デザイナーの故郷である石川県の風景や文化からインスピレーションを得て創り出されております。
今シーズンのYASHIKIのテーマは「冬支度」であり、厳しい寒さに向けて準備をする人々の営みからデザインを起こしたラインナップです。
こちらに関しまして、まずは、デザイナーの言葉を以下に引用致します。
[ 冬支度 ] Fuyujitaku
賑やかな蛙の合唱から落ち着いた虫の子守歌に変わり
爽やかな風はいつしか冷たさを増し
針を刺されているかのような痛みを伴う
そう、冬がくる
人々は紅葉の赤い絨毯を歩いていたことも忘れ
冬への支度を急ぐ
こもがけされた土塀
きちんと雪吊りされた街路樹たちは
いまかいまかと雪を待っているようにも見える
買い物袋を手についつい立ち止まって見てしまうその景色は
ここ金沢ならではの光景だ
雪雷が鳴り響く
帰りを急げとの合図だ
きっと今晩は雪が降る
YASHIKI 2019AW COLLECTIONでは「冬支度」をテーマに厳しい冬に備える
人々の営みや景色を暖かなニットに詰め込みました。
薦掛けや雪吊りなど、金沢では馴染みの深い、冬の風物詩ともなっているものをイメージソースとし、デザインに落とし込んでおります。
しかし、薦掛けや雪吊りと言いましても、都会に生まれ育ったシティボーイ、シティーガールの方にはピンと来ないのではないでしょうか。
以下に簡単にご説明致します。


薦掛けとは、藁を編んだむしろを土塀に掛けて、土塀を雪から守るものです。
土塀に染み込んだ水分が冷えて凍りつき、ひび割れてしまうのを防ぐ役割を果たします。
金沢には古い土塀が今なお存在し、その歴史的遺産を守る為に毎年施されるのです。

雪吊りは、冬の金沢観光の目玉の一つにもなっておりますので、ご存知の方も多いかも知れません。
冬の積雪の重みから木々を守る為に、縄で補強するものです。
円錐状にびっしりと縄を張り、とても美しい造形となります。
金沢での生活が長い私は、こちらを見ると、「あぁ、冬が来たんだな…。」と感じる、金沢人らしい習性が身に付きました。
そしてこれらの冬支度に欠かせないのが、「わら縄」です。
稲の茎を乾燥させ、撚り合わせて作られた、天然の資材です。

このわら縄をモチーフとして、YASHIKIがニットに落とし込むと、このようになります。



わら縄を表現した立体感のある編み柄が、ボーダー状にびっしりと入ります。



わら縄特有のねじねじすらも立体的に再現した、見事な編み柄です。

ガンジーセーターを思わせるデザインですが、肩部分には矢絣柄が入り、「和」の雰囲気を持っているYASHIKIらしい仕上がりです。
力強い編み柄が目を惹く完成度の高いデザインではありますが、この様な背景を知ることでデザイナーの想いが感じられて、より愛着を持って着用することが出来ます。
それぞれの作品に込められたメッセージは作品ページに記載しておりますので、お時間のある際にご覧頂き、YASHIKIのニットの世界観をよりお楽しみ頂ければ幸いでございます。