廃墟からの一年

廃墟からの一年

By 齊藤 大輔 投稿日: / 最終更新日:

2015年9月18日にSaltyがオープンしてから、一年が経ちました。 初めは天井も壁も無く、廃墟のようだった物件。笑

沢山の方の助けがあり、何とかオープンに滑り込みました。

それからずっと一人で、とにかくがむしゃらに走り続ける内に一年が経っていました。

 本当にあっという間で、全く実感がありません。。。笑 この一年も、Saltyをより良い方向に導ける様に全力で走ります。 相変わらずバタバタしているとは思いますが、温かく見守って頂ければ幸いでございます。


少し過ぎてしまいましたが、9月18日のオープン記念日に合わせて、水面下で進めておりましたプロジェクトを公開致します。

 それは、SaltyオリジナルTシャツ(通称ソルTee)プロジェクト! デザイン、パターン、生地選びと、全て妥協無しで、最高のTシャツを作る為にコツコツと取り組んでいたものが、無事完成致しました。

 先にこちらのTシャツのコンセプトをお伝え致しますと、 「一年中着たくなるTシャツ」。 夏場のメインアイテムとしてだけのTシャツでは無く、秋、春はシャツやジャケットの中に、冬はニットの中に、肌着として着たくなるような、最高の着心地のTシャツを目指して作製致しました。

 おかげで工場には沢山無理を言ってしまいましたが、良い仕上がりとなりました。   

「…って、無地かよっ!」

 というツッコミが入りそうなこのシンプルさ。笑 

 胸ポケットも無しの究極のミニマル。 白無地一色のみの展開です。 しかし、至る所に私の非常に細かなこだわりを詰めて、やりたいことを妥協せずにすべてやり切った作り込みです。(採算度外視です。笑) まず、生地は異なるものを3種類使用しております。

前身頃、後身頃、袖で全て異なる生地。 いずれも綿100%であることに違いはありませんが、それぞれに綿の品種、綿糸の細さ、編み方の異なるもので、性質が異なります。  

「綿100%」と一口に言っても全く違うんだぞ!というのをお伝えしたかったのです。 前身頃に使用したのは、「スビンゴールド」という非常に貴重な綿と、高級綿として知名度の高い「スーピマ綿」で編み立てた贅沢な生地。

シルクの様な強い光沢が上品で、非常に滑らかでありながらカシミアのようなヌメリを感じる素材で、今回使用した3種では一番高価な生地です。

ジャケットのインナーにちらりと見えても、ただの「Tシャツ」という印象では無く、その強い光沢が上品な雰囲気に見せます。 次に、後身頃に使用したのは、「ペルヴィアンピマ」という品種で、先に登場した「スーピマ綿」や、エジプトの高級綿「ギザ綿」よりも繊維長が長いもので、非常に柔らかく、滑らかな肌触りです。

こちらは3種の生地の内、一番薄手で柔らかいものですが、後身頃にこちらの生地を配置したのも一年中着やすくする為のデザインです。

肌に直接着ることを前提としているこちらのTシャツでは、冬場にニットの中に着て、更にコートを羽織って…という際にも背中がムレにくく、常にさらさらとした着心地をお愉しみ頂ける様な工夫です。(もちろん夏場も涼しく着られます。) そして袖に使用した生地は、3種の中では一番ハリが強く、硬い生地です。

極限まで度詰めにし、カチカチの生地となっております。 型崩れしにくいという利点もあるのですが、今回こちらの生地を採用したのは、そのハリの強さが必要だったからです。 こちらのTシャツでは、肌に直接着た際の着心地を良くする為、襟元にタグを付けておりません。

しかし、それではあまりにもアノニマス過ぎます。笑 ですので、どこかに「Salty」と分かるロゴを入れる必要があったのですが、極力ロゴなんて見せたく無いですし…。 という状況で、

その場所に選んだのが、 袖の内側。笑  

一度のロールアップでもするすると落ちて来ないように、このハリの強さが必要でした。 さらにこちらの袖は、縫製方法も特徴的です。

 こちらのTシャツでは、肩から袖口までの2倍の長さの生地を内側に折り返して、また肩で縫う、「無双仕立て」で作ってあります。 つまり、肩から袖口までは2枚重ねの状態ですので、一度のロールアップでも二度ロールアップしたのと同等の安定感が得られる訳です。

 ロールアップすると通常は生地の裏面が出るところですが、この仕様にすることでロールアップしても生地の表が出ます。 そしてこちらの「無双仕立て」では、袖口を縫っていない為、ロールアップした際にロックステッチが出て来ない、非常にすっきりとした見た目となります。

袖を下ろした状態でも、ステッチの無いミニマルな雰囲気が特徴的です。 切りっぱなしよりもさらにすっきりと見える仕上がりです。

 このように聞くといいこと尽くめの仕様ですが、 製作側からすると、生地を2倍使うこと、そして縫製の手間がものすごく増えることで、極力やりたくない仕様なのです。 (引き受けて下さった工場の職人さんには本当に感謝です。。。) そしてサイズは2つ作ったのですが、 通常のサイズピッチでは無く、全くかけ離れた2サイズに致しました。  

一つは身長160cm程度でビッグT、身長170cm程度で程良いゆとりのあるもの、もう一つは身長170cm程度でビッグT、身長180cm程度で程良いゆとりとなるものです。(女性が信長を着ると肩が大きくドロップし、とてもかわいいサイズ感です。)  

単純なサイズの違いでは無く、身幅と着丈等の比率を変えてパターン自体を大きく変更してありますので、デザインは一緒であっても別物という感じです。  

その為、通常のM、Lの様な表記ではしっくり来ないな…ということで、 「信長」というサイズと、「秀吉」というサイズ表記に致しました。笑 意表をついて、小さい方が「信長」です。 「信長」が30枚、「秀吉」が15枚の限定生産です。  

ちなみに価格は、Saltyの9月18日オープンを表す、9,180円(税込)に設定致しました。笑 工場にもかなり無理を強いてしまいましたが、一周年記念に最適な価格が実現致しました。(一応赤字ではございませんのでご安心を。笑) お時間のある方は、商品ページも覗いてみて下さいませ。  

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