手織りの様な、糸のムラが強く出た存在感のある生地

こちらの作品では、経糸に絹紡紬糸(※注1)を、緯糸にオーガニックコットンの落ち綿(※注2)を混ぜた綿をガラ紡機(※注3)で紡績した糸を用いて織り上げた生地を使用しております。
一般的に使用されている高速紡績機では振り落とされてしまう落ち綿も、ゆっくりと紡ぐガラ紡機だからこそ紡績することが出来るのです。
織機には尾州のションヘル織機(※注4)を用いて、手織りの様な柔らかな質感が生まれております。
こうして完成した生地は、遠目でも伝わる程にぼこぼことした凹凸があり、現代の機械で生産された日常的に目にする布とは全く異なる強烈な存在感のある表情に仕上がっております。

※注1 絹紡紬糸……絹の製糸に使用出来ない屑繭等を再度紡績した糸。シルク100%ではありますが、一般的にイメージするツヤツヤ、滑らかなシルクとは異なり、節やムラが出た素朴な風合いを持っております。

※注2 落ち綿……糸を紡績する工程で発生する、短い繊維。通常は廃棄されるものですが、敢えてこちらを再度紡績して糸に生まれ変わらせることで、ムラのある独特な風合いに仕上がります。

※注3 ガラ紡機……明治初期に日本で発明された紡績機。機械ではあるものの、その原理は手紡ぎのものと同じで、仕上がりももちろん手紡ぎ糸の様に不揃いな凹凸が出来、太さにムラのある非常に味わいのある糸となります。現在主流の紡績機と比較すると、圧倒的に生産効率が悪く、手紡ぎの様な技術を要する為、稼働しているのは全国でも数台のみとなってしまった消えゆく紡績機。

※注4 ションヘル織機……明治〜昭和中期頃まで使用されていた旧式の織り機。手織りの工程を動力化したに過ぎないこちらの機械は、仕上がりも手織りに近く、ふっくらと柔らかな質感となります。現在主流の高速織機と比較すると生産効率は5分の1程度に留まる為、どんどんと高速織機に取って代わられて今では絶版となってしまっています。

生地の魅力を引き出すデザイン

身頃、アームホール、袖、裾、ポケットなど、多くのパーツが直線で描かれる、極端に平面的なパターンが特徴です。
着物の様な「和」の雰囲気を持った柔らかなイメージで、様々な体型に自然に馴染みます。
各パーツを直線で構成することで、生地の無駄が少なく環境負荷を小さくすることにも貢献する作りです。
縫い代を全て表に出し、生地端は切りっぱなしにすることでこちらの生地の魅力を引き出し、デザイン上のアクセントとしております。
ブランドのネームタグや品質タグは全てポケットの中に隠し、リバーシブルで着られる様に配慮された仕様です。

※生地原料産地、染色地、加工地、縫製地などの詳細な解説に関しましては、こちらのMITTAN公式ページをご覧下さいませ。

MITTANの洋服は1シーズンで消費するのでは無く、永く着る前提で作られております。永く着用する中で色褪せ、破れなどが発生した場合はMITTANが独自の修繕を施して新たな洋服として生まれ変わらせております。修繕に関しましてはこちらよりお問い合わせ下さいませ。