クロコレザーの腑を活かした革取り

こちらの作品では、クロコダイルレザーを使用しております。
フロント部分の細かな腑模様から、だんだんと大きく形の整った竹腑へと移り変わってゆき、クロコダイルならではの質感を存分にお愉しみいただける革の取り方です。

履き心地を追求したディテール

トングが親指と人差し指の間にぐっと食い込んで痛くて履けない…という不快感は誰もが経験していると思います。
「トングサンダルは痛くなるもの」と決め込んで何も疑問を持たず過ぎ去りがちですが、こちらはその部分を改善すべく二手に分かれた構造にしております。
履き心地の向上と共に、見た目にもミニマルな印象となるディテールです。
また、トングには前述の様にクロコダイルレザーを使用しておりますが、裏面までもクロコダイルレザーを用いております。
豚革や牛革に変更してコストダウンするのが定石であるのに裏にもクロコを使うのは「脱いだ際の見え方にも配慮しているんだな。さすがだな。」と初見で感じたのですが、しげしげと見ていると本質はおそらくそこではないと気が付きました。
こちらは裏にクロコレザーを貼り合わせている訳ではなく、一枚のクロコレザーを折って片側のみを縫製した仕様です。
その縫製部分はアウトサイドに来ていて、足の入る内側は折り曲げた側。
つまり、革を切り出した端が極力肌に当たらない様気が配られた作りです。
見えにくい部分にコストを掛けてでも、どこまでも妥協せずより完成度の高い作品を作るという姿勢はPETROSOLAUMならではだなと感じます。

木釘の作り込み、手仕事のあたたかみ

PETROSOLAUMではいつもながらですが、ソールにはウッドペイス(※)を打ち込み、またトングの固定の為に釘も打ち込んだ堅牢で丁寧な作り込み。
レザーサンダル界では頂点と称される某ブランドでは化粧釘がアイコンとなっており堅牢で無骨なイメージを持っておりますが、こちらは伝統的な手仕事のあたたかみがダイレクトに伝わる手間暇かけた仕様です。

※注 ウッドペイス……ソールに打ち込む木釘。その工程は機械化されておらず、手間暇を掛けて打ち込んだ証となる。

ここまでの完成度の高さでまさかのビーサンデザイン

前述の様に贅沢な素材使い、履き心地と見た目の為に手間暇を惜しまず妥協のない作り込みをしていながらも、ビーサン型に仕上げているのが非常に面白い匙加減です。
ここまで作り込むならば重厚で正統派のレザーサンダルにしてしまいそうですが、チープなサンダルの代名詞の形に敢えてすることで、こちらの贅沢な仕様がより一層強調されております。
「テキトーにビーサン履いて出て来ました」と見せかけてこの様な本格的なサンダルを履いているスタイルはとても素敵だなと感じます。
暑さ対策最優先となり、服で遊びづらい真夏の楽しみとしておすすめです。